話題になった言葉に違和感を持つことがある。最近では「NISA貧乏」。

いまさら説明の必要はないだろうけど、NISAは株などの投資で得た利益が非課税になる制度。国が「貯蓄から投資へ」として、主に老後資金の備えとして推奨しているもの。

そして、「NISA貧乏」はNISAへの投資を最優先し、今使えるお金がないことで「貧乏」であることを指す。

でも冷静に考えると、この言葉には矛盾がある。そもそもNISAは余剰資金でやるもの。その時点でお金に余裕があるから、本当の貧乏とは言えない。タイミングによって含み損はあり得るけれど、いつでも現金化できる。別の例えで言うなら数千万円の土地を持ってるけれど、すぐに使える現金は無い。それを貧乏と呼べるのか?

昔、私の進学や実家をリフォームする時に両親は「お金が無い」とよく言っていた。両親は株をやっていて、特定の銘柄を数十年持ち続ける長期タイプ。当時は私もよくわかってなかったのだけれど、現金預金は無いけれど株はある。いざとなれば現金に変えることができる状態だった。

株や投資信託を長くやっている人ほど、現金を持っていないケースが多い。銀行の預金利率は雀の涙。投資に回すとプラス・マイナスはありながら、高い利率や配当金が得られる。そちらを優先して、全資産のうち現金は数%しかない人もいる。

それを踏まえると「NISA貧乏」という言葉が出てくる背景には、投資意識が高まっていることが考えられる。投資に勤しんで、すぐに使える現金が無いだけの「自虐的に無い」と言っているだけ。

でも、「NISA貧乏」は若干の揶揄の意味が込められている。広まったとは言え、投資はまだまだギャンブルと同じように捉えられることも少なくない。そのギャンブルに一生懸命になっているなんて!と受け止める人もいるのだろう。

マスコミもその背景をわかりながら、言葉のキャッチーさで取り上げている。一部の人にラベリングをしつつ、激安スーパーの特集と同様に、投資に回す余裕のない層の目線に立つ方が、視聴者の共感を得られる。その裏で投資のCMを流している皮肉。

「NISA貧乏」のように、その本質が理解されないまま言葉のキャッチーさだけで、印象が独り歩きするのをよく見かける。少し調べればわかる言葉でも実態が置き去りにされるくらいだから、事件やスキャンダルも一部が切り取られ独り歩き、一気にその印象に染まってしまう怖さを感じる。

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投稿者 yamaji

大阪在住のデザイナー、大阪芸術大学非常勤講師。Web、グラフィック、動画、文章書き、ネットショップ運営。Photoshop、Illustrator書籍、雑誌記事執筆、Web&デザインセミナー開催多数。

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