最近では、爪の手入れをしている男性も珍しくなくなった。接客業の人や、大学の男子学生でも、ふとした時に指先を見ると、光沢があり手入れされた爪を目にすることがある。私はというとそういったオシャレ意識はなく、1〜2mm程度伸びると気になってしまい、週一回程度のペースでただ爪を切っている。
そんな意識なので、何かの拍子に自分の指先を見て「爪が伸びている」と気づくと途端に気になり始める。気になるし「切らなきゃ」と、頭の中のTo Doリストに追加される。
かといってすぐ切るわけでもなく放置してしまい、見るたびに「切らなきゃ」と思い出す。すぐにできるハズのことができていないという、小さいことではあるものの確実に気がかりなことになる。
そして、意を決して(と言うほど大げさなことでもないが)爪を切ると、スッキリする。それまでの「やらなけらばならないことが、できない自分」「なかなか前へ進めない自分」とオサラバできるのだ。当たり前の話だが、次に伸びてくるまで爪のことを考えることはない。完全に吹っ切れる。
「前へ進めない自分」と大げさに書いたけれど、実はこんな小さなところにこそ、物事を先送りにしてしまう本質があるのではないか。何かの申請や、片付け、連絡など、やらなければと思っていることをつい先送りにしてしまう。やっていないからこそ、ずっと頭の片隅に残り続け、ふとした瞬間に脳裏をよぎる。特に爪は自分の指先にあるため、一日に何度も目に入る。そのたびに「できていない自分」「ダメな自分」を無意識に突きつけられる。
その瞬間、脳の貴重なリソースが奪われていく。ほんの一瞬であっても、それが繰り返されることで、思いのほか多くの時間とエネルギーを消費している。だからこそ、爪を切った後のあのスッキリ感は、単なる作業の完了ではなく「解放」と言っても良い。
つまり、爪を切るような小さなタスクから片付けていくことが、前へ進むということなのだ。人は大きな夢や目標を抱きながら、なかなか行動を起こせないことがある。眼の前の爪を切ることでさえできないのだから、その延長線上の大きなことへ進めるはずがない。
「まずは爪を切れ!」そこからはじまる。
